建築や空間を創造するという行為は、自然が纏う有機的な美しさへの眼差しから始まると考えています。

それは、単に木や土や石といった自然素材を用いることでも、生命の形態を模倣することでもありません。自然の本質とは「形」そのものではなく、その場所や環境に最もふさわしく適応しているという「在り方」にあります。

フィンランドの森とメキシコの砂漠では、そこに息づく生き物や植物の生態が異なります。しかしいずれも環境への必然的な応答として、最も合理的で美しい姿を獲得しています。私はその「適応の美」にこそ、設計の原理を見出します。

根や茎、葉や花の形は複雑で、その総体としての植物を、私たちは直ちには説明できません。けれども、それらはすべて生存の要請に裏づけられた必然の構造であり、「和」の上に存在します。それゆえに、人はそこに「理にかなった美」を感じるのだと思います。

建築における「環境」もまた、単なる自然条件を指すものではありません。それは社会の背景や課題、その地に積み重ねられた歴史や文化、地形や地盤、法規、立地、風景。さらには、依頼主や建築家、職人をはじめとするプロジェクトに携わるすべての人々の技術、感性、価値観、そして具体的な要望や経済的な現実までもが折り重なった、ひとつの総体的な文脈であると考えます。

「環境が人を育む」と言うように、環境の大切さを人は本能的に知っています。私たちは、その環境そのものを設計の根拠とし、デザインを通して、より良い未来の形を探ります。そして、人々に愛され、時を超えて使われ続ける建築や空間こそ、真の意味での持続可能性を体現するものだと信じています。

あなたとの出会いが、美しい建築や空間、そしてより豊かな社会を生み出す一歩となれば幸いです。

有吉弘輔

一級建築士

1981年福岡生まれ
2006年鹿児島大学大学院博士前期課程修了
建築家・松永安光氏、大石和彦氏に師事
2011年ノットイコール一級建築士事務所スタート

空間に関するあらゆる規模、形態、ジャンルの
設計、デザイン、企画、ディレクション業務

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有吉 弘輔

一級建築士

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