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KOSUKE ARIYOSHI

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One-sided roof house

あけぼのの片屋根

いわゆる戸建開発エリアの縁(へり)にぽっかり売れ残った旗竿敷地、それが今回の計画地である。住宅街に面する「竿」に対し南側の「旗」部分には、車両の通れない遊歩道と緑あふれる豊かな景観が広がっていた。このような状況においては、一般的に住宅街側に玄関を設けその反対となる南側の静かな庭をプライベートゾーンとして設計することがセオリーであるが、ここでは玄関を南側に設けプライベートゾーンを住宅側に寄せることを考えた。竿部分となる前面道路側よりも圧倒的に豊かさを感じる南側の遊歩道側に対して住まいを開き、さらにそれを【箱】ではなく一枚の【大屋根】により環境に対してやんわりと領域を規定することを基本方針とした。

敷地に一枚の屋根をふわりと設けることを発想の起点とし、軒や土間、開口部や間仕切、床レベルや天井高さなどの設計や操作によって、南側の静かで豊かな環境を徐々に住戸内へと引き込むような計画としている。南側の外部環境を最外端、最内端を水廻りや個室といったプライベートスペースとし、その両端部をグラデーショナルに接続させる中間部を幾重にも設けることでワンルームでありながら豊かな住空間を実現する。最外端(開かれた外)→視線を遮る塀で囲われた屋外としての中庭(閉じ気味の外)→雨に濡れない軒下の外部(内的な外)→ 玄関を兼ねた縁側のような屋内の土間(外的な内)→土間から1段上がった板張りのスペース(開かれた内)→最内端(閉じ気味の内)、といった具合に屋根による天井高さや床レベルの変化、仕上の使い分け、ボリュームコントロール、間取り等によって、環境と住空間が分断されることなくグラデーショナルに連続する住まいが実現している。

また、建物の最高高さは外壁材が最大2枚で張りきれる高さを超えないことを制約とし、同じ素材による塀は規格寸法を綺麗に2等分した寸法を基準とした上で、外壁と下端が揃うように綿密に計算されている。内部は登り梁も含めて合理的なモジュールにより計画し、材料や施工手間が最小となるよう配慮した。

Detail

計画地

福岡県福津市

用途
戸建住宅
種別
新築
構造
木造
規模
2階建
敷地面積
271.86m²
建築面積
78.48m²
延床面積
91.72m²
竣工日
2018.12
竣工状況
竣工

Partner

施工
村松健太・山下弘希 | 松光建設http://asemamire.com
写真
針金洋介 | 針金建築写真事務所http://hariphoto.net

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