公園の利用促進を目的とするピクニックイベント「おそとリビング」の空間構成です。
会場は、一面芝生で覆われた原っぱのような気持ちのよい空間ではありましたが、ピクニックとして居座るには少し広々としすぎている印象を受けました。おそらく人は、平坦な芝生の上よりも隆起した地面や木陰、岩や水辺のほとりに安心感や居心地を感じるのでしょう。そのような居心地を生む「きっかけ」のようなものが原っぱの開放感を阻害することなく点在し、訪れた人々がそこを使わないことも含めて自由に選択できる、そんな会場がつくれると良いのではと考えました。
そこで、人々のよりどころやイベントの起点となる、きっかけをつくるツールとして「原っぱのティピー」と名付けたとても小さな構造物を考案しました。テントのような什器のようなオブジェのような単純だけれど不思議な構造物です。汎用性の高い杉の角材とボルトのみを用い、たった3本という最小限の部材数でつくることで極めてシンプルで素朴な、見た目だけではない軽やかさを実現しています。また、サインベースも同じ仕組みで作られており、誰にでも簡単に組立・解体ができ、来年度以降も繰り返し使用することができるようになっています。
インディアンの移動式簡易住居である「ティピー」に似たこのシンプルな構造物は、布を巻いて日陰をつくったり、ランプをぶらさげたり、バックやコートを掛けたり、また、イベント用の飾り付けのためのベースになったり、まさに「おそとリビング」のためのツールになったのではないでしょうか。
アイランドシティ・アーバンデザインセンター(UDCIC)
アイランドシティ中央公園