小児科に隣接する調剤薬局の新築計画。
調剤薬局は建築基準法上「物販店舗」に分類されるいわゆる店舗であるものの、一般的な店舗との決定的な違いは薬局そのものに集客機能がほぼ必要ない点にある。一般的な店舗をはじめとする商業施設ではファサード(建物の顔となる外観部分)のデザインが集客を大きく左右すると言われているが、調剤薬局に関してはそれが必ずしも適用されないことを意味する。また、今回の計画が定期借地、フランチャイズといった消費的な状況であったことを踏まえると、半端な形態操作や表現、装飾にコストをかける意義もほとんど見当たらない。したがって、ここでは上述したような一般店舗の常識を排除したデザインアプローチとすることで調剤薬局という業態そのものの形態化を目指した。
汎用品の使用、機能性や必要性、商業的な費用対効果といった同じく汎用的なルールや判断をあえて徹底し、仕様や位置の選択、バランスのみによって全体を組み立てることで、他の一般的な商業施設とは異なる無意味な化粧の無い純粋な調剤薬局をつくろうとした。
福岡県福岡市城南区