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Nikusho-Iwanagagenzohonten Restaurant

肉匠・岩永源蔵本店 レストラン棟

開業から22年、肉や惣菜、調味料などの提供を通し地域の日常を支え続けてきた商店が、新たにレストランをスタートさせるとのことで相談を頂いた。手始めにプロジェクトの大きな方向性や方針を探る為、既存建物の改修履歴や現状調査、法的整理と並行し、新築、増築、改修、減築など様々な可能性を入念に検討した。最終的に施主の要望や確認申請、構造、機能、施工性、コストなどの総合的判断から、鉄骨造の既存棟と隣地との隙間7坪にも満たぬ極小の空地に、EXP.J.による木造増築のみが一縷(いちる)の方針となった。

計画では、店舗としての目的を踏まえ既存と増築とを単なる調和や融合のみでは解かず、かといって無意味な造形や奇抜な意匠で解くこととも違う、今回だからこそ輝きを放つ、そんなデザインの有り様を模索した。そこで商店の「日常性」とレストランの「非日常性」に着目し、全体の一体感を意識しつつも意匠や空間性にてその対比を徹底することで、店舗の個性やリニューアル感の創出、変化に富む空間体験、シンプルな設計によるコストカットなど、場や状況の特性を活かした合理的な計画が可能となった。

増築棟は意匠・構造ともに一見完全な別棟に見えるものの、最大座席数の確保とコスト最小化の為、既存棟とエントランスを兼用し既存棟内部よりアクセスする形式としている。これにより外部では既存との対比を鮮明にするミニマルなファサードが実現でき、内部では既存棟を介して増築棟にアクセスすることで変化のある空間体験が生まれる。また、増築棟から延びる白い帯のような塀は、限られた敷地で表出せざるを得ない既存井戸ポンプや設備類の目隠しに加え、将来的に出店などイベント利用であったり植栽スペースとしてフレキシブルに使える空地を創出し、さらには既存棟エントランスへと視線を導くサインとしての機能や、既存棟・増築棟とを一つに束ねる役割など、多くの効果が意図されている。

また、一部ハイブリッド梁を除くすべての構造材への国産杉の使用や、照明器具の半数以上に別現場のものをリユースしたり、内部サインは現場で出た端材で容易に製作できるデザインとするなどコストを抑えると同時に手の届く範囲で環境負荷への意識も取り入れている。

Detail

計画地

福岡県みやま市

用途
店舗併用住宅
種別
増改築
構造
既存:鉄骨造+木造/増築:木造
規模
2階建
敷地面積
598.35m²
建築面積
24.96(291.55)m²
延床面積
42.07(462.39)m²
計画着手時期
2022.9.21
竣工日
2023.12.27
竣工状況
竣工

Partner

施工
廣松佑治 | 株式会社廣松組
厨房
堀英俊 | タニコー株式会社
内部サイン一式
ノットイコール一級建築士事務所https://notequal.jp
ロゴ
先崎哲進|株式会社テツシンデザインhttp://tetusin.com
写真
針金洋介|針金建築写真事務所http://hariphoto.net

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