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FLORIST MOUNTAIN Vol.4

花屋マウンテン Vol.4

2016年から続く、同コンセプトによる第四弾工事。
今回は主に1階花屋の壁の改装と、2階の喫茶玄関を1階に変更・新設する工事を行った。1階は、既存白壁をラワン合板で覆い、暗く染色することで淡い草花の映える落ち着いた空間とし、その一角に設けた新たな2階玄関をそれとは対照的な明るい設えとすることで、自然と2階へ意識を誘う仕掛けとなっている。この1階花屋内に設けた喫茶玄関からは、上階喫茶から下階玄関までを結ぶように延伸したブルーカーペットが顔をのぞき、1階へとなだれ込んでいるかのようである。前回までの工事で、1階と2階の関係性は吹抜によってのみ規定されていたが、ついには階をまたぎ、吹抜以外のより直接的な繋がりが新たに加わった。また、新たに製作した2階喫茶のための靴箱が同時に1階花屋のための飾り棚でもあるように、1階と2階は同一店舗でありながら、相互の領域が交錯し、分かれながら同時に繋がっている曖昧な状態が生まれており、それが独特かつ繊細なバランスの空間を成立させている。

4度目の工事を終え、分かったことがいくつかあるのでここで一度考察してみることとする。このプロジェクトの最もユニークな点は、同一設計者が約1年単位で1つの空間を幾度もリノベーションしているという点であろう。リノベーションの醍醐味は「既存」の存在であり、何よりその読み解きや分析が重要となるが、既存設計者が同一人物であるが故に、既存に対する理解とその解像度に(当たり前であるが)一切のずれがなく、改修精度は自ずと高いものとなる。加えて、同一施主との度重なる協同は良好な信頼関係の構築にもつながる。また、1度の工事規模がコンパクトであるが故に次回工事までのスパンが短く、プロジェクトが頻繁に動くことで、設計者という立場でありながらも施主と共に店舗を育てているような感覚となる。これらは通常の劇的ビフォアアフター的な改修プロジェクトでは得難い体感であると同時に、建築家としての新たな関わり方の1つとして、一定の可能性を感じている。

■2019 改修Vol.3
https://notequal.jp/project/2324

■2018 改修Vol.2
https://notequal.jp/project/1769

■2016 改修Vol.1
https://notequal.jp/project/1274

Detail

計画地

福岡県福岡市中央区

用途
花屋/喫茶
種別
改修
構造
木造
規模
1階/2階建
竣工日
2021.9
竣工状況
竣工
ウェブサイト
https://www.instagram.com/flowersmountain/?hl=ja

Partner

施工
大沼知紀 | 飯尾建設http://iio.co.jp
写真
針金洋介 | 針金建築写真事務所http://hariphoto.net

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