STANLEY KUBIRICKの傑作。はずかしながらようやく観ました。これが1968年のものとは到底信じられません。
建築的なパースの効いた美しい構図、レトロフューチャーなカッコいいインテリア、アイデアに富む技術設定と撮影手法、壮大なテーマ、無駄のない演出と効果音、奇天烈(に感じる)な場面展開、決してわかりやすい作品ではありませんが、内容のある映像芸術、といった印象です。
繰り返しますが、公開は1968年です。つまり33年後を夢想した作品ということになりますが、今から33年後の2051年を僕たちはどこまで描けるでしょうか。構想力とはそういう力のことを言うのでしょう。小説家や映画監督、政治家だけではなく、まさに建築家にも必要な力だと思います。とは言え、近年業界的・社会的には、誇大妄想的な構想力よりも地に足の着いたマネジメント能力が求められています。ただ、個人的にはマネジメントが果たす役割と、難題を打開し抜本的な解決に導く役割を担う構想は役割が違うため、どちらも習得するに越したことはないと感じています。
ちなみにCHRISTOPHER NOLANの『インターステラー』は完全に本作のオマージュですね。あちらも大変素晴らしい作品でしたが、時代背景含めた評価になりますが、よりミニマルでセンセーショナルな本作はやはり傑作と言えるでしょう。