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KOSUKE ARIYOSHI

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(仮称)糸島の住宅

2021.06.01 /


糸島にて住宅の改修プロジェクトが進んでいます。森に囲まれ海を望む素晴らしい環境の中、クライアントのお人柄や価値観を大切にしつつ、大らかに健康に暮らすための住まいをつくります。既存の骨格をできるだけ活かしながら、触るところ、触らないところ、その加減、範囲、仕様、いつものように大変地味ではありますが、その取捨選択を吟味しながら、最小限の手数で豊かな住まいに変えていきたいと思っています。余談ですが、僕はミニマルとは何にも無いことを指すのではなく、要るものは要る、要らないものは要らない、その精査と積み重ねの結果こそが本当のミニマルなのだと思っています。ミニマルはよく引き算のデザインという言葉を耳にしますが、僕はそれとは少し捉え方が違って、引き算だけでなく足し算も含めてその両方を行き来しながら洗練し尽くした状態がミニマルという状態だと考えていて、いつも目標としています。

(仮称)若久の住宅

2021.05.23 /


すでに初回ご提案から丸一年。調整に調整を重ね、ついに内容と予算がまとまりました。ウッドショックの影響を考慮し、通常の進め方とは異なりますが、確認申請作業と並行し先行して工事契約を終える予定で、木材の調達を急ぎます。

都市部低層戸建密集地での、間口7.5m、奥行4.2m、建坪9.5坪の木造2階建の計画です。何も考えずに総二階建てにすると容積率オーバーになるので緩和を使います。密集地でのプライバシーを担保しつつ建物を通して光と風の抜ける立体ワンルームとなる予定。4層の帯が積層したような外観で、狭小地で四方すべての外壁が敷地境界に近接している為、防火構造仕様となっています。構造をすべて外周側に集めることで内部に柱は一本もなく、在来軸組に一部門型のラーメン構造を用いることで弱点となる中央部を補強しています。

小さいこともいろいろやるので忘れられているかもしれませんが、一応というか、ふつうに新築も承っております笑

Opening of Maison HAKOSHIMA

2021.05.06 /







5月6日、博多区御供所町に「Maison HAKOSHIMA」という小さなテキスタイルメーカーが誕生します。戦前まで生産されていた「箱崎縞」を復元し、衣類の販売と喫茶スペースがひとつになったユニークなお店となります。喫茶では、ハンドドリップのコーヒーや茶葉にこだわった紅茶、ほうじ茶、素材や製法にこだわったオリジナルの手焼き菓子が頂けます。

御供所町は、博多駅のほど近くにもかかわらず由緒ある寺院が数多く残る街です。街自体にどことなく気品や気概が漂っており、古きものを尊重する心、すなわち時間の蓄積を大切にする心や、一方で自由を許容していることの表れでしょうか個性豊かな店舗がひっそりと点在しています。そのような文脈を踏まえ、極端に原型を変えるというよりもできるだけ既存(場の記憶、時の蓄積)の継承を考え、最小限の手数で店舗としての機能とブランド表現を両立できるように構成や寸法、素材や仕上を慎重に考えていきました。がらんとした荒々しいむき出しの躯体に、無節・無垢・無塗装の白っぽい木塊のような極小の厨房をそっと置く、ただそれだけで場に必要な緊張感を創出しつつ、洋の喫茶と和のギャラリー双方を適度にゾーニングしながらも違和感なくつないでいます。今は先のみえにくい時代ですが、素地(Nude/ヌード)であることは、今後様々な変化に対応できる余白の多い計画とも言えます。この空間の為にデザインしたオリジナルのペンダント照明もピリリと良いアクセントになったかと思います。

また、空間の最奥には博多織の現役織機が鎮座しています。日頃なかなか見れない道具を、今回の計画で気軽に見ることができる機会も生まれました。このように、ささやかな計画ながら、街、喫茶、ギャラリー、織機というように、古いものや新しいもの、美味しいものや文化的なものを空間として結び、御供所町に優しい賑わいを生み、ひいては美しい街並みの一部となっていくことを最大の目標に据え、取り組んできました。

ぜひ一度訪れてみてください。

店名:Maison HAKOSHIMA
住所:博多区御供所町12-2
施工:村松健太/KENTAS
プロダクト製作:酒井航/DOUBLE=DOUBLE FURNITURE
材料協力:峯公一郎/九銘協、鷹野宏典/鷹野木材
植栽:つむぎ
ロゴ・包装図案:牧野伊三夫
菓子レシピ:山本ゆりこ