NOTEQUAL

KOSUKE ARIYOSHI

© NOTEQUAL ALL RIGHTS RESERVED.

Opening of Maison HAKOSHIMA

2021.05.06 /







5月6日、博多区御供所町に「Maison HAKOSHIMA」という小さなテキスタイルメーカーが誕生します。戦前まで生産されていた「箱崎縞」を復元し、衣類の販売と喫茶スペースがひとつになったユニークなお店となります。喫茶では、ハンドドリップのコーヒーや茶葉にこだわった紅茶、ほうじ茶、素材や製法にこだわったオリジナルの手焼き菓子が頂けます。

御供所町は、博多駅のほど近くにもかかわらず由緒ある寺院が数多く残る街です。街自体にどことなく気品や気概が漂っており、古きものを尊重する心、すなわち時間の蓄積を大切にする心や、一方で自由を許容していることの表れでしょうか個性豊かな店舗がひっそりと点在しています。そのような文脈を踏まえ、極端に原型を変えるというよりもできるだけ既存(場の記憶、時の蓄積)の継承を考え、最小限の手数で店舗としての機能とブランド表現を両立できるように構成や寸法、素材や仕上を慎重に考えていきました。がらんとした荒々しいむき出しの躯体に、無節・無垢・無塗装の白っぽい木塊のような極小の厨房をそっと置く、ただそれだけで場に必要な緊張感を創出しつつ、洋の喫茶と和のギャラリー双方を適度にゾーニングしながらも違和感なくつないでいます。今は先のみえにくい時代ですが、素地(Nude/ヌード)であることは、今後様々な変化に対応できる余白の多い計画とも言えます。この空間の為にデザインしたオリジナルのペンダント照明もピリリと良いアクセントになったかと思います。

また、空間の最奥には博多織の現役織機が鎮座しています。日頃なかなか見れない道具を、今回の計画で気軽に見ることができる機会も生まれました。このように、ささやかな計画ながら、街、喫茶、ギャラリー、織機というように、古いものや新しいもの、美味しいものや文化的なものを空間として結び、御供所町に優しい賑わいを生み、ひいては美しい街並みの一部となっていくことを最大の目標に据え、取り組んできました。

ぜひ一度訪れてみてください。

店名:Maison HAKOSHIMA
住所:博多区御供所町12-2
施工:村松健太/KENTAS
プロダクト製作:酒井航/DOUBLE=DOUBLE FURNITURE
材料協力:峯公一郎/九銘協、鷹野宏典/鷹野木材
植栽:つむぎ
ロゴ・包装図案:牧野伊三夫
菓子レシピ:山本ゆりこ

TO NAGAYU & TAKETA

2021.03.21 /




















大分二日目。この日は長湯温泉、竹田城下町、最後に朝倉文夫記念館と巡っていきます。二日酔いでスタートしましたが、クアパークの重炭酸泉に入ってナント全回復。血流が増大し、凄まじい効能を肌で感じました。ラムネ温泉は低温のため冬季はおすすめできませんが、重炭酸泉は比較的暖かかくておすすめです!
この日は建築事務所らしく、建築もりもり見学デー。ワークヴィジョンズ(チラ見)、象設計集団、山口隆史(チラ見)、藤森照信、坂茂、首藤廣剛(アルカイック)、隈研吾、塩塚隆生、清家清、、お腹いっぱいです笑
どれも見どころありますが、塩塚さんの竹田市立図書館と清家清さんの朝倉文夫記念館が特に良かったかな。建築以外では、リカドのランチも美味しかったし、かどぱんも○、アーティストであるオレクトロニカのお二人が運営する傾く家も良かったし、竹田の石垣もすごく良かった。時間の都合で民具屋に行けなかったことだけが残念!次回の楽しみにとっておこうと思います。

TO NAKATSU & USA

2021.03.21 /













創造的な仕事はインプットも大切とはよく言いますが、日々の膨大な業務に追われてなかなか実行できないのが実情だったりします。まとまった時間が取りにくい場合は、なるべく読書や映画鑑賞(もっぱら自宅鑑賞が多いんですけど)、新しい音楽に触れるなどしていますが、やはり建築は実際の空間体験がとても大切。机上の理論や正論、哲学、はたまた想像や感覚だけでは本当に良い建築はつくれません。建築って、おそらく皆さんが想像しているよりずっとずっと複雑で可能性に溢れていて、面白いものなのですよ。
ということで、先日、事務所スタッフ2人と3人でプチ研修旅行に行ってきました。はじめてのぶらり男3人旅、スタッフ室くんの故郷大分へ。中津経由、宇佐を中心に色々と見て回りました。気になるスポットはたくさんありましたが、近代建築だけではなく、地物を食し、干潟や遺構、神社など幅広く巡ることができました。建築設計には、そのひとの人生そのものが現れるものだと思っているので、建築だけでなく、世の中全方向的に様々な知見を広げることが大切かなと常々思っています。
夜は室くんの古巣でもある建築家の伊藤憲吾さん、伊藤さんのお弟子さんで独立したばかりの若手建築家、原大地さんと合流。もはや何の話をしたかあまり覚えていませんが(勉強になるお話もたくさんして頂き、それは覚えています笑)、散々飲んで三次会までお付き合い頂きました笑 お二方ともとても良い方で楽しい時間でした。ただ、締めのラーメンは余計でした。(美味しかったけど明け方大変で。。笑)

ラカトン&ヴァッサル

2021.03.19 /


建築界のノーベル賞といわれる、権威ある賞の1つにプリツカー賞があります。1979年の初代受賞者のフィリップ・ジョンソンをはじめとし、世界的な建築家が毎年名を連ねる建築界では言わずと知れたアワードの1つです。実は日本人も数多く受賞しており、日本人初代の丹下健三を皮切りに、槇文彦、安藤忠雄、SANAA(妹島和世+西沢立衛)、伊東豊雄、坂茂、そして2019年には日本人8人目として磯崎新氏が受賞しました。素晴らしいですね!日本の建築家は世界的にみても優秀だということがお分かり頂けますでしょうか。皆様の身近な建築家をもっと褒めて評価してあげてください笑

しかし一方で、残念なことも浮き彫りになっています。磯崎氏がプリツカー賞に輝いた翌年、受賞を知ってか知らずか(知っていればまた違ったというのも違うのでしょうが)、氏の作品である博多駅前の「西日本シティ銀行本店」が解体されました。あのシンボリックな赤い天然石の外壁は、膨大な量だったと聞いていますが、わざわざインドから船で輸送したものだというのはご存知でしたでしょうか。是非ゴミにするのではなくリユースしてほしい、というかすべきですね。少しまじめな話をすると、この解体と2019年の菊竹清訓の傑作「都城市民会館」の解体とが僕にとっては特に象徴的であったわけですが(他にも近代遺産の解体事例はたくさんあります)、市民ひとりひとりの自国の近代建築文化への理解の低さ、不勉強さを露呈した出来事の1つとして反省の余地があるなと思います。いずれも2度と建築不可能なほどの大変な情熱と膨大なエネルギーの結晶であり、時代性、革新性、芸術性など様々な知見からも価値のあるものでした。100年後の100年前は現在なわけで、今を正しく評価し行動できなければ歴史や文化は、それこそ喪失してしまいます。ここ数年ずっと考えていることですが、建築やデザインの教育をぜひ義務教育で取り入れてほしいものです。デザイン的思考や審美眼は、ただそれだけで日常生活を驚くほど豊かに変えることができることを、僕は体験的に知っています。

話がかなり逸れてしまいましたが、2021年のプリツカー賞は「ラカトン&ヴァッサル」というフランスを拠点とする建築ユニットに決定したとのことです。既存を徹底的に分析し、再解釈・更新という手法は、まさにこれからの建築手法だと個人的にも考えているところで非常に共感できます。また、特にここが重要だと思っていますが、その手法の結果がいわゆるリノベーションでありがちな、過去に基づく安心感へ寄せるようなありきたりなものではなく、未踏の地を切り拓く可能性に対してのチャレンジを感じるところ、さらにそれが単に奇抜だったり派手だったりパフォーマンスのようであったりというものではなく、緻密な分析の結果、つまり与条件から自然発生的に生まれてきているように感じるところがポイントなのでしょう。とても励みになります。

photo:Laurent Chalet

■記事
https://architecturephoto.net/114153/

■ラカトン&ヴァッサル
https://www.lacatonvassal.com