この度、ご縁あって九州産業大学建築都市工学部住居・インテリア学科の非常勤講師を務めさせて頂くこととなりました。前期のみにはなりますが、2年生設計実習全3ブースのうちの1ブース約20名を受け持ちます。人生はじめての教職で困難も多いでしょうが、生徒さんにとってより良い時間となるように、またこのような機会を頂けたことに感謝しつつ取り組んで行きたいと思います。
住居・インテリア学科は、今春より大幅にカリキュラムの変更が行われています。具体的には、座学、製図、設計実習という一般的に独立して行われる3つの講義が、相互に連携を取りながら共通の課題を題材とすることで設計実習の精度向上を期待するカリキュラムとなっています。生徒は大変ですが、まじめに取り組めば確実に知識・技術が身につく内容となっています。また、設計実習も半年前倒しで早く取り掛かるように改変されており、1年生の後期には早くも新築住宅の設計を経験します。ちなみに僕が受け持つ2年生前期の課題は「業務系インテリア」というもので店舗の内装設計を行います。学生からすると店舗は住宅に比べて身近で無い故に感覚が備わっていないことや、目的がそもそも異なる為に住宅の方法論が通用しなかったり、加えて住宅が一人称だとすると、店舗は二人称、三人称となり、より客観性や別視点が必要となる為に課題としての難易度が飛躍的に上がります。そのような課題に対し、生徒は敷地分析からコンセプトメイク、ゾーニングといった、建築的なプロセスを学ぶことで、いわゆる感覚や情緒、造形性のみに頼る内装デザインではなく、論理的に問題を発見し解決する力を養うことができる内容となっています。とは言え、学科としてもはじめての取り組みの為、教師陣も都度意見交換をしながら改善点を見つけてはチューニングするように進めています。
と、言うと聞こえは良いですが、僕の場合はそれ以前に教師経験自体がはじめてということもあってそもそもの基盤・環境づくりからてんやわんやしています。教授や他先生方に大いに頼りつつ、尊敬するブルーノ・ムナーリが最後に行き着いた「教育」という領域でこれから何ができるのか実践を通して考えていきたいと思います。